日本臨床外科学会雑誌
Online ISSN : 1882-5133
Print ISSN : 1345-2843
ISSN-L : 1345-2843
症例
腫瘍摘出と定位分割放射線治療で8カ月無再発生存中の膵癌脳転移の1例
佐藤 里咲杉田 浩章前田 一也道傳 研司
著者情報
キーワード: 膵癌, 脳転移, 長期生存
ジャーナル フリー

2022 年 83 巻 4 号 p. 768-774

詳細
抄録

症例は,63歳の女性.心窩部痛を主訴に,近医より当院に紹介受診となった.精査で左副腎転移を伴う膵尾部癌と診断し,膵体尾部・脾臓・左副腎合併切除を行った.病理組織診断では,pT3N1M1 pStage IVb,R0手術の診断であった.術後補助化学療法としてS-1単独療法を行ったが,術後10カ月で多発肺転移が出現しGnP療法を開始した.その後S-1,GEMへ変更するもPDと診断,FOLFIRINOX療法を開始した.肺病変は縮小したが,術後5年2カ月でふらつきや腫瘍マーカーの上昇を認め,頭部MRIで小脳転移を認めた.化学療法は中止し,脳腫瘍摘出術および定位分割放射線治療を施行した.その後,腫瘍マーカーは正常化し,現在無再発生存中である.

他臓器転移を伴う膵癌の予後は極めて不良であり,長期生存例は稀である.また,膵癌の脳転移症例はほとんど報告されていない.今回,われわれは左副腎転移を伴う膵尾部癌に対して,集学的治療により長期生存を得られている1例を経験したので報告する.

著者関連情報
© 2022 日本臨床外科学会
前の記事 次の記事
feedback
Top