日本臨床外科学会雑誌
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症例
再発により異所性ACTH症候群を発症した膵頭部神経内分泌癌の1例
島岡 高宏濱 直樹瀧内 大輔福田 虹恵原田 宗一郎太田 博文
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2022 年 83 巻 4 号 p. 762-767

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抄録

症例は69歳,女性.2型糖尿病にて近医通院中に,持続する高血糖精査にて施行した腹部MRIで膵頭部に1cm大の不整形腫瘤を認めたため,治療目的に紹介となった.精査の結果,膵頭部神経内分泌癌neuroendocrine carcinoma(NEC)cT1N0M0 cStage Iの診断で,膵頭十二指腸切除術を施行した.癌遺残なく切除し(R0切除),最終診断は膵頭部NEC pT1cN0M0 fStage Iであった.

術後半年経過した時点で高血糖症状が再燃し,同時に低カリウム血症と全身の圧痕性浮腫を呈し,腹部CTでは肝内に多発する再発巣を認めた.血液検査ではACTH 216pg/mL,Cortisol 37.5μg/dLと高値であり,デキサメサゾン抑制試験の結果,異所性ACTH症候群と診断した.副腎皮質ホルモン合成酵素阻害剤で症状を抑制しながら,再発治療としてetoposide+cisplatinによる化学療法を開始した.術後1年経過した現在も治療継続中である.

膵NECの異所性ACTH産生型再発の報告は非常に稀であり,文献的考察を交えて報告する.

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