2022 年 83 巻 5 号 p. 815-820
症例は69歳,男性.遷延する腹痛と便秘のため当院へ救急搬送され,精査の結果,盲腸癌・大腸閉塞が疑われた.イレウスチューブを挿入して減圧を行った後に全身精査を行ったところ,原発巣の腹壁浸潤に加え,多発リンパ節転移・肝転移・肺転移・骨転移を認めた.原発巣の切除は困難であったため回腸人工肛門を造設し,化学療法を施行の方針とした.RAS変異陽性であったことからmFOLFOX6+bevacizumab療法を開始したところ,治療開始から5カ月経過した11コース目の施行後に本人より難治性口内炎の訴えがあった.口腔外科での診察を受けたところ下顎骨壊死の診断となったため,一時化学療法を中止し,口腔外科にて抜歯と腐骨除去を施行した.顎骨壊死はbevacizumabの有害事象と考えられるが,極めて稀であり本邦における報告はほとんどない.今回われわれは,bevacizumabによる顎骨壊死の症例を経験したので報告する.