2022 年 83 巻 5 号 p. 891-897
症例は39歳,女性.下腹部痛で受診し,腹部造影CTにて右側腹部に7cm大の単胞性嚢胞性病変を認め,嚢胞壁の造影効果を伴い,腸管膜に発生した嚢胞性腫瘍と診断した.血液検査ではCEA・CA19-9の上昇を認めた.腸管との連続性が否定できず,腹腔鏡下回盲部切除術を施行した.腫瘍と子宮・両側付属器との接点はなく,病理検査で嚢胞壁と腸管との連絡も認めなかった.嚢胞壁内側が中等度の核異型を伴う背の低い単層性の円柱上皮からなっていた.免疫組織学的にはCK7陽性,CK20陽性,CDX2陰性であり,回盲部腸管膜原発の粘液性嚢胞腺腫と診断した.また,CEA・CA19-9陽性であった.術後経過は良好で症状も消失し,腫瘍マーカーも低下した.術後半年で再発も認めていない.腸管膜原発の粘液性嚢胞腺腫は稀であり報告する.