2022 年 83 巻 5 号 p. 919-924
人工肛門閉鎖後にbacterial translocation(BT)によるものと考えられる敗血症を生じた1例を報告する.症例は71歳,男性.下部直腸癌に対して腹腔鏡下超低位前方切除術および回腸人工肛門造設術を施行した.2カ月後に,回腸人工肛門閉鎖,腹腔鏡下胆嚢摘出術を施行した.術後3日目より食事を再開した.術後6日目に敗血症性ショックを発症した.精査を行ったが,明らかな熱源は特定できなかったため,BTによる敗血症性ショックと考えた.抗菌薬やγグロブリン製剤,血漿製剤の投与により治療開始後4日に改善した.人工肛門閉鎖後にBTによるものと考えられる敗血症性ショックを生じた症例を経験した.人工肛門閉鎖後に敗血症を認めた場合,縫合不全,尿路感染など他の原因が排除できる時には,BTも考慮する必要があると考えられる.