2022 年 83 巻 5 号 p. 941-945
症例は73歳,女性.嘔吐と腹痛を主訴に受診.腹部造影CTで小腸の拡張と左卵巣腫大と腹膜,腸間膜に多発する結節を認めた.PET/CTで左卵巣や多発結節に集積を認めたが,膵臓への集積は認めなかった.左卵巣癌の腹膜転移による腸閉塞の診断で手術を施行した.術中所見は,左卵巣腫大と大網・腹膜・腸間膜に多発結節を認めた.Treitz靱帯付近の空腸腸間膜と回腸の漿膜に結節を認めた.子宮両側付属器,大網を摘出し,結節を認めた空腸と回腸をそれぞれ切除し吻合した.病理検査で結節のすべてから膵組織由来の腺癌を認めた.両側卵巣に原発性卵巣癌と膵組織由来腺癌の播種の衝突を認めた.最終診断は,腹膜播種と転移を伴う異所性膵癌と原発性卵巣癌の重複癌とした.医学中央雑誌で「異所性膵癌」かつ「重複癌」で検索したところ,報告は1例のみであった.非常に稀な異所性膵癌に両側卵巣癌を伴った重複癌を経験したため,文献的考察を加えて報告する.