日本臨床外科学会雑誌
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症例
大腸癌術後再発肝転移とともにFDG-PET/CTで集積をみたBraun腫瘤の1例
松本 恭平上野 昌樹速水 晋也宮本 篤川井 学山上 裕機
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2022 年 83 巻 5 号 p. 946-951

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抄録

大網に発生する炎症性肉芽腫をBraun腫瘤と呼び,異物を核とした炎症反応によることが多い.術前検査にて,単発腹膜再発と診断し切除を施行したが,病理診断ではBraun腫瘤であった1例を報告する.

症例は74歳,女性.横行結腸癌・肝S6転移の術後で,定期検査のFDG-PET/CTで新規肝S4転移と横行結腸吻合部近傍にFDG集積を伴う一部陥凹した結節像が同定された.新規肝転移・単発腹膜再発の診断にて,腹腔鏡下肝S4切除・腹膜結節摘出を施行した.腹膜結節の病理組織学的所見では内部に縫合糸を認め,それを取り囲むように炎症細胞が浸潤したBraun腫瘤の診断であった.

Braun腫瘤は過去に悪性疾患の手術歴がある場合,腹膜・リンパ節再発との鑑別を要するが,困難であることが多い.FDGの集積を認めたとしても,発生部位と過去の手術部位との関連性の有無・異物を核とするような結節の形態であるかどうかを考慮して,Braun腫瘤の可能性も考えておく必要性がある.

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