2022 年 83 巻 5 号 p. 952-956
症例は,呼吸困難のため救急車搬送された57歳の女性.来院時,室内気吸入時の動脈血酸素分圧が46.1mmHgと急性呼吸不全の状態であった.胸腹部CT画像で大量の右胸水,巨大な子宮筋腫と腹水があり,pseudo-Meigs症候群と診断した.この症例は,試験開腹所見,子宮付属器摘出術,血清CA125値の推移,腹水セルブロックによる細胞診断から原発性腹膜癌(PPC:II期)による胸水貯留と診断訂正された.子宮摘出後,腹膜癌治療ガイドラインに従い全身化学療法を継続中であり,24カ月後の現在,CA125値は正常域を維持しており,完全寛解中である.II期のPPCは,化学療法によく反応し治癒の可能性もあるが,画像診断には限界がある.CA125高値の巨大子宮筋腫では,視触診による腹膜散布状の白色結節の有無についての,専門医による術中審査が必要である.