2022 年 83 巻 6 号 p. 1024-1030
乳頭内に乳癌の浸潤が疑われた早期乳癌に対して,乳頭全摘乳輪部分切除を伴う乳房温存術を4例に施行した.
術前,乳房MRI造影画像で乳頭内への癌浸潤を判定した.症例1はPaget病で,乳頭全体が造影された.症例2は陥没乳頭直下に巨大な腫瘍があり,乳頭基部まで造影された.症例3は乳頭基部を中心に瀰漫性に造影され,浸潤巣の存在が疑われた.症例4は乳頭方向に乳管内進展し乳頭内に結節像を認め,浸潤の可能性ありと判定した.症例2はductal carcinoma in situを含む被包性乳頭腫であった.病理検索で乳頭内の癌浸潤巣を症例3では認めたが,症例4では確認できなかった.全例断端陰性で術後照射を併用した.
乳頭を全摘し乳輪下の病変部直上の乳輪皮膚皮下も合併切除し,乳頭・乳輪部も含め大胸筋筋膜までを全層切除する乳房温存術とした.紡錘状の皮膚切開創を連続埋没縫合としたため乳輪部にdog earが形成され,一見乳頭様に膨隆し,さらに乳輪皮膚の色調が温存された.