2022 年 83 巻 6 号 p. 1019-1023
症例は71歳,女性.左乳癌(T1bN0M0)に対して乳房部分切除術を施行した.術後補助療法は拒否されたため,無治療経過観察となった.術後3年5カ月で左腋窩リンパ節再発と多発骨転移を認め,その3カ月後に呼吸困難が出現した.胸部CTでは両肺に浸潤影とすりガラス影が多発し,経気管支肺生検(transbronchial lung biopys:以下TBLB)では血管内に腫瘍塞栓像を認め,心エコーで右心負荷所見を認めた.以上から,pulmonary tumor thrombotic microangiopathy(以下PTTM)と診断したが進行性に状態が悪化し,入院20日目に死亡した.担癌患者が進行性の呼吸困難や右心不全を発症した場合には,本疾患も鑑別に挙げて精査を行う必要がある.