日本臨床外科学会雑誌
Online ISSN : 1882-5133
Print ISSN : 1345-2843
ISSN-L : 1345-2843
症例
大型食道裂孔ヘルニアに伴うCameron lesionの1例
土佐 明誠安次富 駿介柴田 信博中嶋 啓雄坂井 昇道
著者情報
ジャーナル フリー

2022 年 83 巻 6 号 p. 1047-1051

詳細
抄録

症例は67歳,女性.黒色便と重度の鉄欠乏性貧血を主訴に,近医を受診した.出血源の検索のため,上下部の内視鏡検査が行われた.大型食道裂孔ヘルニア(LHH)と診断されたが,出血源不明のまま40カ月間保存的治療による経過観察が続けられていた.この間,2回の大量消化管出血と進行する鉄欠乏性貧血が観察された.また,この間に再度の上下部内視鏡検査が行われていた.近医初診後40カ月目に,LHHによるupside down stomachのため当院外科へ緊急入院した.過去の上部内視鏡写真の見直しにより,Cameron lesion(CL)からの消化管出血が疑われ,LHHに対する手術を行った.術後は順調に経過し,術後60カ月経つ現在,消化管出血,進行する鉄欠乏性貧血,裂孔ヘルニアの再発はない.

LHHに発生する胃粘膜の非特異的な糜爛や潰瘍性の病変は,CLと呼ばれ,急性消化管出血や慢性の鉄欠乏性貧血の原因となる.すべてのLHH患者では,消化管出血や貧血があれば,CLを疑うべきである.

著者関連情報
© 2022 日本臨床外科学会
前の記事 次の記事
feedback
Top