日本臨床外科学会雑誌
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症例
炎症消退後に面積比10%に縮小し腹腔鏡下に切除した腸間膜リンパ管腫の1例
榊原 舞里見 大介土岐 朋子野村 悟福冨 聡森嶋 友一
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2022 年 83 巻 6 号 p. 1073-1078

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抄録

症例は腹痛・食欲不振を主訴とした,51歳の女性.血液検査で高度炎症を,腹部CTで119×154mmの周囲に炎症を伴った多房性病変を認め,腹部リンパ管腫感染と診断した.保存治療が奏効し待機手術を予定した.発症8週目のMRIにてリンパ管腫が28×68mmと著明に縮小したことを確認し,腹腔鏡下手術にて切除しえた.最終診断は嚢胞状腸間膜リンパ管腫であった.

成人の腹部リンパ管腫はまれであり,同様の報告はなかった.小児領域ではリンパ管腫の急速増大と自然退縮がよくあり,その機序としてリンパ管腫の細々としたリンパ流では感染で増大したリンパ流に排出が追い付かずリンパ腫が急速増大すること,惹起された炎症により自然退縮することや退縮には時間を要することが報告されていた.自験例もリンパ管腫が感染により増大し顕著化したものの,炎症の消退後に著明に縮小したため低侵襲な腹腔鏡手術が可能となったと考えられた.示唆に富む症例と考え,文献的考察を含め報告する.

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