2022 年 83 巻 6 号 p. 1079-1084
症例は43歳,男性.食欲低下と発熱を主訴に当院内科を受診.腹部造影CTで左総腸骨動脈内側に小腸壁に接する110×70mm大の腫瘤形成を認めた.腹腔内膿瘍と診断し抗菌薬投与をするも症状軽快せず,入院翌日に穿刺排膿およびドレナージ目的でカテーテル留置を行った.小腸造影検査にてカテーテルの先端近傍の小腸内にバリウムの貯留を認め,潰瘍形成が疑われた.Crohn病を疑い小腸ダブルバルーン内視鏡検査を行うも,積極的にはCrohn病を疑う所見に乏しかった.入院49日目に診断と治療目的で腫瘤を含め一塊として小腸部分切除を施行した.病理所見では,紡錘形の腫瘍細胞の増生が認められ,免疫染色ではc-kit陽性であり,膿瘍形成を伴った小腸GISTと診断された.術後56日目よりイマチニブの内服を開始し,術後2年1カ月無再発生存中である.腹腔内膿瘍を形成する小腸GISTは比較的まれな疾患で,文献的考察も含めて報告する.