2022 年 83 巻 6 号 p. 1096-1102
症例は64歳,男性.S状結腸癌(S,cT3N0M0,cStage IIa)の診断で腹腔鏡下S状結腸切除術(DST吻合)を施行した.特に合併症なく第7病日に退院したが,第24日病日に腹痛を主訴に当院を受診した.来院時に施行した腹部単純X線写真では下行結腸を起点に著明な結腸の拡張を認めた.腹部造影CTでは吻合部口側の結腸が吻合部に嵌頓していたため,DST吻合部の腸重積と診断した.内視鏡的整復も困難であったため,同日腹腔鏡下で緊急手術を行った.術中所見では口側結腸が吻合部に強固に嵌頓していたため,吻合部の切除・再吻合(DST吻合)を行った.再手術後は合併症なく第31病日に退院となった.術後病理検査では粘膜面の浮腫や線維化を認めたものの,腸重積の先進部となる器質的病変はなかった.腹腔鏡下S状結腸切除後のDST吻合部腸重積の症例は稀な病態であると考えられ,若干の文献的考察を加えて報告する.