2022 年 83 巻 7 号 p. 1296-1300
症例は57歳,男性.主訴は下痢・嘔吐で,腹部X線写真,CTにて小腸腫瘍による腸管狭窄が疑われた.小腸内視鏡にて空腸に全周性狭窄を認め,小腸部分切除術を施行した.腫瘍は全周性で,一部漿膜面に露出し粘膜面は粗造であった.病理診断では,形質細胞腫の性質を持った腫瘍細胞を認めた.骨髄生検では形質細胞の増殖を認めず,血清・尿中からもM蛋白を認めなかった.多発性骨髄腫は否定的であり,髄外性形質細胞腫の診断となった.髄外性形質細胞腫の好発部位は鼻腔,副鼻腔,消化管,肺,甲状腺,眼窩,リンパ節などであり,その80%以上は上気道,口腔に発生し,小腸原発はまれである.われわれの検索では,小腸原発の本邦報告例は8例で,本症例は9例目の報告となる.小腸原発の髄外性形質細胞腫の1例を経験したので,文献的考察を加えて報告する.