2022 年 83 巻 8 号 p. 1393-1397
背景:近年,早期乳癌の周術期治療はsubtypeで個別化され,大規模試験によりSLN転移陽性でも腋窩郭清省略が示唆された.また,luminal乳癌のリンパ節転移が1-2個ならば化学療法省略傾向にある.しかし,リンパ節転移数は補助療法決定の重要因子であり,SLN以外の腋窩リンパ節(non-SLN)に転移があれば,補助療法が不十分となりうる.当院はSLNを術中OSNA法で判定してきたが,転移陽性SLNのTTL(total tumor load)がnon-SLN転移を予測すると報告され,luminal乳癌のSLNのTTLとnon-SLN転移を後ろ向きに検討した.
方法:対象は2012年5月~2021年6月にOSNA法でSLN陽性と判定され腋窩郭清へ移行したER陽性でHER2陰性の83例.TTL cut off値2.1×104 copies/μLでの2群のnon-SLN転移を解析した.
結果:83例中non-SLN転移陽性は11例で,TTL高値群は有意にnon-SLN転移発生率が高かった(P=0.00854).
結語:Luminal乳癌においてTTLはnon-SLN転移を予測する可能性が示された.