2022 年 83 巻 9 号 p. 1581-1588
胃癌の局所再発に対する放射線照射療法で8年10カ月の無再発生存例を経験したので,その有用性と局所再発の原因につき検討した.
症例は50歳の男性で,胃癌,3型,転移リンパ節からの腹腔動脈浸潤の診断で化学療法を施行し,腹腔動脈浸潤の原因となったbulkyリンパ節は縮小した.R0手術可能と判断し,Appleby手術を施行した.切除標本組織診ではtub1,SI(後腹膜腔),N1,stage III B,R0であったが,節外転移(en),神経浸潤(pn)を認めた.術後3カ月で腹腔動脈周囲に局所再発し,放射線照射治療を施行し術後8年10カ月,無再発生存した.
この症例の局所再発の原因がen・pn遺残が疑われたため,局所治療の選択肢の一つとして放射線照射を施行しCRとなった.
胃癌の局所再発治療の選択肢の一つとして,放射線照射療法で治癒が望める可能性がある.