2022 年 83 巻 9 号 p. 1589-1595
症例は50歳,男性.2週間前より持続する腹痛を主訴に近医より紹介され,腹部造影CTにて上腸間膜静脈・門脈血栓を認め,interventional radiology目的に入院となった.翌朝,腹痛の増悪を認め,CT再検にて空腸の造影不良域を認めたため当科へ紹介,緊急手術となった.術中所見にて小腸の虚血壊死を認め,鬱血による血流障害が原因と推測されたため,開腹下に上腸間膜静脈末梢から血栓除去を行った後,虚血小腸を部分切除し小腸瘻を造設した.術後,厳格な抗血栓・抗凝固療法を行い,術後34日目に小腸瘻閉鎖,63日目に退院となった.入院時および12週後にループスアンチコアグラントが陽性となり,抗リン脂質抗体症候群と診断した.腸間膜静脈血栓から腸管虚血壊死に至るケースは散見されるものの,開腹手術中の血栓除去術に関する報告は少ない.今回,貴重な症例を経験したので,若干の文献的考察を交えて報告する.