日本臨床外科学会雑誌
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症例
開腹イレウス解除術と腹腔鏡下胆摘を二期的に行った胆石イレウスの1例
川口 雄太前川 恭一郎橋本 敏章北川 瑞希力武 美保子岩田 亨
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2023 年 84 巻 10 号 p. 1667-1672

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抄録

胆石イレウスは胆石症の稀な合併症の一つであり,イレウス解除は必要だが,内胆汁瘻の閉鎖に関して確立した見解はない.症例は78歳の女性.嘔吐を主訴に当院を受診し,CTで30mm大の胆石の小腸への嵌頓と胆嚢十二指腸瘻を認めた.胆石イレウスの診断で緊急小腸切石術を行い,胆嚢十二指腸瘻に関しては自然閉鎖を期待し保存的加療の方針とした.術後7カ月の上部消化管内視鏡で瘻孔の残存を認めたため,腹腔鏡下に自動縫合器を用いた瘻孔切除術と胆嚢摘出術を行った.内胆汁瘻に関しては,逆行性胆管炎や胆道腫瘍のリスクから瘻孔切除術が推奨される.しかし,瘻孔の自然閉鎖例が多いことや,イレウス解除術と同時に一期的に瘻孔切除術を行う場合,死亡率が有意に上昇することから,二期的な手術が推奨される.また,瘻孔の大きさや炎症の程度によっては低侵襲な腹腔鏡下手術も考慮され,本症例も二期的な腹腔鏡下胆嚢十二指腸瘻切除術が有用であった.

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