日本臨床外科学会雑誌
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症例
集中治療を要した高度肥満者の腹壁瘢痕ヘルニア嵌頓小腸穿孔術後出血の1例
甲斐 巧也前田 敦行高山 祐一高橋 崇真青山 広希金岡 祐次
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2023 年 84 巻 2 号 p. 346-351

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抄録

症例は60歳,女性.身長159cm,体重100kg,BMI 40kg/m2.9年前に臍ヘルニアに対してメッシュ修復術が施行された.前夜からの腹痛が改善せず,当院に救急搬送された.腹部には巨大腫瘤を認め,CTでは14×10cmの腹壁瘢痕ヘルニアと小腸近傍にfree airを認め,腹壁瘢痕ヘルニア嵌頓小腸穿孔と診断し緊急手術を施行した.小腸の壊死と1cmの穿孔を認め,切除吻合した.ヘルニア修復はメッシュを除去し,components separation法で施行した.術後14日目と18日目に大量の皮下出血で出血性ショックとなり緊急手術を施行したが,明らかな出血点は認めなかった.その後,人工呼吸器管理,腎不全となり血液透析を必要とし,抗菌薬による無顆粒球症を併発したが保存的に軽快し,77日目に軽快退院した.再出血前に発熱を認めたために感染を契機に再出血した可能性も考えられた.肥満患者では組織が脆弱なうえ,剥離範囲が広範なため,十分な止血と感染コントロールが必要である.

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