外科医が対応するヘルニア疾患をI.鼠径部およびその周辺のヘルニア,II.腹部の内ヘルニア,III.腹壁のヘルニア,IV.横隔膜のヘルニアに分けた.そのいずれにも経験を積んだ臨床外科医でも初めて遭遇するような希少な症例があり,診断や治療技術の進歩に伴ってそのような希少例に対する診断・治療方針も変遷し進歩を遂げていく.症例報告論文は外科医がただ一度の経験ではあっても,それを提示し,考察し,記録に残すことにより希少な症例に対する診断・治療の進歩に貢献する貴重な資料である.この綜説ではこの12年間に学会誌に掲載された希少なヘルニア症例報告論文から,診断・治療の要点や最新の話題,今後の展望などを2編に分けて概説した.疾患の認識がなければ診断は困難であり,治療方針にも影響する.臨床現場でいつ遭遇しても対応できるように,疾患名とその要点を頭の片隅に覚えていただけることを望む.