2023 年 84 巻 4 号 p. 569-573
症例は87歳,女性.吐血と黒色便で当院へ救急搬送された.上部消化管内視鏡検査でMallory-Weiss症候群と診断した.内視鏡後のCTで脾周囲を中心としたCT値の高い腹水貯留とupside down stomach(UDS)を認め,腹腔内出血を疑い緊急手術を施行した.開腹すると胃脾間膜からの出血を認めたので縫合止血し,食道裂孔ヘルニアの修復を行った.術後は脳梗塞を合併したが,ヘルニアの再発なくリハビリ施設へ転院した.自験例では,UDSにより胃脾間膜に過度の進展がかかった状態で,嘔吐や内視鏡操作による物理的刺激が加わり,胃脾間膜から出血したと考えられた.食道裂孔ヘルニアに腹腔内出血を合併した報告は稀であり,文献的考察を加えて報告する.