2023 年 84 巻 4 号 p. 596-602
症例は78歳の女性で,腹痛と嘔吐を主訴に当院を受診した.血液検査で肝胆道系酵素の上昇を認め,CTで近位小腸内にairを伴う腫瘤状陰影を認めたため,胆管炎と診断し入院した.ERCPで胆道内に結石を認めなかった.イレウス管を挿入したが腸閉塞が改善しないため,CTを再検すると小腸内の腫瘤が肛門側に移動していた.食餌性腸閉塞または腸石による腸閉塞の診断で,入院13日目に腹腔鏡下手術を施行した,小腸に球形の硬い物体を認め,腸切開したところ結石であったため摘出し,小腸を縫合閉鎖した.結石の大きさは3.0×2.0cmで,成分分析でデオキシコール酸が98%以上であったので,胆汁酸腸石と診断した.CTで3.0×2.0cmの十二指腸傍乳頭憩室を認め,臨床的に胆管十二指腸瘻,胆囊十二指腸瘻を認めなかったことから,十二指腸傍乳頭憩室内の腸石の落下による腸閉塞と考えた.胆石落下による腸閉塞の報告は多いが,十二指腸傍乳頭憩室に形成された真性腸石の落下による腸閉塞の報告は稀である.