2023 年 84 巻 5 号 p. 714-718
症例は82歳,男性.大動脈弁置換術,冠動脈バイパス術後の縦隔炎のため6カ月間の保存的治療後に,大網・大胸筋弁充填を施行されていた.術後30日目に腹痛が出現し,単純CTで胸骨前皮下に小腸の脱出を認め,当院を受診した.剣状突起下瘢痕ヘルニアによる腸閉塞が疑われ,緊急手術を施行した.開腹下に小腸を牽引してヘルニアを解除し,小腸の血流は保たれており温存した.ヘルニア門は,胸骨前の皮下組織を胸骨によせることによる単純結紮縫合で閉鎖した.術後5日目に食事を開始し,術後12日目に転院となったが術後33日目に再度腹痛が出現し,ヘルニア再発を認め当院を受診した.絞扼は否定的であり,メッシュを準備した上で翌日に準緊急で手術を施行した.腹腔鏡下に小腸を腹腔内へ牽引して整復し,メッシュを用いてkeyhole法で修復した.術後4日目に食事を開始し,術後12日目に転院となった.術後5カ月で他病死したが,ヘルニア再発は認めなかった.