2023 年 84 巻 5 号 p. 738-744
症例は77歳,女性.7年前に早期胃癌に対して内視鏡的粘膜下層剥離術(ESD)を施行した.定期フォロー中,CA19-9の上昇を認めた.腹部造影CTで胃幽門前庭部大彎側に25mm大の腫瘤を認め,PET-CTでは同部位にFDG集積を認めた.上部消化管内視鏡検査では明らかな粘膜病変は認めず,超音波内視鏡で腫瘤は胃壁外に存在し,針生検で腺癌と診断された.既往の胃癌組織像とは形態が異なっていたが,病歴より胃癌ESD後リンパ節再発の可能性を考慮し,外科的切除の方針とした.術中所見では,胃幽門輪近傍に腫瘤を認め,幽門側胃切除術,D2リンパ節郭清を行った.病理組織学的検査では,病変は粘膜下層から漿膜下層に存在し,粘膜面への露出はなく,腫瘍の周囲には異所性膵が認められ,腫瘍辺縁の膵管内に上皮内癌を認めた.以上より,異所性膵由来の腺癌と診断した.胃異所性膵癌の報告例は比較的稀であり,若干の文献的考察を含めて報告する.