日本臨床外科学会雑誌
Online ISSN : 1882-5133
Print ISSN : 1345-2843
ISSN-L : 1345-2843
症例
下行結腸動静脈奇形による腹腔内出血の1例
三枝 晋浦谷 亮渡辺 修洋藤川 裕之毛利 智美広川 佳史田中 光司
著者情報
ジャーナル フリー

2023 年 84 巻 7 号 p. 1060-1064

詳細
抄録

症例は72歳,男性.左下腹部痛を主訴に来院.腹部理学所見では左下腹部に圧痛,軽度反跳痛を認めた.精査にて下行結腸憩室腸間膜内穿通,腹腔内出血,腹膜炎と診断し,緊急手術を施行した.開腹所見は暗赤色血性腹水を中等量認めたが,腸管内容漏出による腹腔内汚染は認めなかった.下行結腸腸間膜内血腫,腹腔内出血と診断し,血腫を含む腸間膜および約10cmの下行結腸部分切除術を行った.出血の原因が判然とせず,多発憩室を認めたため,吻合は行わず人工肛門造設術を行った.摘出標本では腸間膜内血腫を腫瘤状に触知し,腸管内腔に出血を認めなかった.病理組織学的所見は粘膜下層で動静脈の形成不整,短絡を認め,動静脈奇形と診断した.消化管動静脈奇形は,消化管出血や貧血の原因として知られているが,腹腔内出血をきたした症例は稀であり,若干の文献的考察を加えて報告する.

著者関連情報
© 2023 日本臨床外科学会
前の記事 次の記事
feedback
Top