2023 年 84 巻 8 号 p. 1257-1261
症例は35歳,男性.前日からの腹痛が改善しないため救急外来を受診した.来院時,右下腹部から正中にかけて圧痛を認めた.血液検査所見では炎症反応上昇を認め,腹部CTでは骨盤内の小腸に隣接する嚢胞性病変と虫垂腫大を認めた.重複腸管・Meckel憩室・急性虫垂炎による炎症や膿瘍形成を疑い,緊急で腹腔鏡下手術を施行した.3点ポートで腹腔鏡下手術を開始し,回腸に連続する腸管様の構造物を認め,腸間膜を共有しており,術中所見からは重複腸管と判断した.基部で360°捻転しており,体腔内で重複腸管の捻転を解除した.臍部を小開腹し,重複腸管を含む回腸を取り出し,正常腸管も含め小腸部分切除を行った.病理組織学的検査所見で嚢胞壁は粘膜・粘膜筋板・固有筋層・漿膜下層を有し,隣接する回腸と共通の腸間膜を有していることから,重複腸管と診断した.今回,腹腔鏡下手術を施行した回腸重複腸管捻転の1例を経験したため報告する.