2023 年 84 巻 8 号 p. 1325-1331
症例は82歳の男性で,発熱と肝機能障害を主訴に当院を紹介受診した.画像検査で遠位胆管の壁肥厚と狭窄を認め,生検でadenocarcinomaを検出した.遠位胆管癌cT2cN0cM0,cStage I Bと診断し亜全胃温存膵頭十二指腸切除術,D2郭清を施行した.摘出標本の病理組織学的検査では,病巣は2種類の腫瘍で構成され,腺癌とNEC(chromogranin陽性,synaptophysin陽性,Ki-67:73.8%)と診断した.腺癌とNECがそれぞれ領域を有するcombined/biphasic type(腺癌:40%,NEC:60%)であり,NECは腺癌より深層まで浸潤し漿膜下層に達していた(pT2,ITT:5mm,SS)が,脈管浸潤や神経浸潤およびリンパ節転移は腺癌/NECともに認めなかった(pLy0,pV0,pN0).術後9カ月目のCTで多発肝転移が出現し,現在化学療法を行っている.本症例では粘膜表層が腺癌主体であり,術前生検ではMiNENと診断することが困難であった.また,NEC成分がより深層まで浸潤していたことが転移をきたす原因になった可能性が示唆された.