日本臨床外科学会雑誌
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症例
Leadless pacemakerへの変更で安全に手術と放射線治療を行った乳癌の1例
馬塲 耕一能城 浩和
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2023 年 84 巻 9 号 p. 1384-1390

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抄録

症例は70歳,女性.4年前に左前胸部よりペースメーカー(PM)を留置されていた.左腋窩の腫瘤を自覚し,受診した.左乳房E区域を中心に長径6cm大の腫瘤を認め,左腋窩にはリンパ節腫大も認めた.生検で浸潤性乳管癌の診断となったが,左鎖骨上にもリンパ節転移を認め,局所進行乳癌の診断であった.術前化学療法を行い,左鎖骨上リンパ節を含めた左乳癌は縮小し手術可能となったが,術後放射線療法の適応であり,乳癌手術前にリードレスPMを留置した.また,右乳房には石灰化病変を認め,生検で非浸潤性乳管癌の診断となり,手術は両側乳房全切除,左腋窩リンパ節郭清,右センチネルリンパ節生検を行った.術後は予定通り,左乳房全切除後放射線療法(50Gy/25Fr)を行った.術後4年になるが,再発を認めていない.高齢化に伴い,PM留置症例は増加しているが,PM留置側に乳癌を合併した場合,診断・治療には注意を要する.

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