2023 年 84 巻 9 号 p. 1391-1396
症例は65歳,女性.右乳房腫瘤と皮膚の発赤・肥厚を主訴に当院を受診し,右乳癌cT4bN1M0 Stage IIIB(浸潤性乳管癌,ER 50%,PgR 20%,HER2 3+)と診断された.乳房造影MRIで右大胸筋の低形成ならびに右小胸筋の欠損を認めた.右手指は対側の手指と比較して低形成であり,Poland症候群の診断に至った.術前化学療法・ホルモン療法を行い,右乳房全切除術+腋窩郭清術を施行した.術後はホルモン療法・分子標的療法,放射線療法を行い,術後3年8カ月現在,無再発生存中である.Poland症候群患者の患側乳癌に対する手術の際は,疾患特有の解剖学的な特徴のため血管や神経の誤認を招きやすく細心の注意が必要である.