2024 年 85 巻 1 号 p. 59-64
症例は29歳,女性.右下腹部痛を主訴に前医を受診した.CTで腹腔内膿瘍を伴う急性虫垂炎と診断され,interval appendectomyの方針で抗菌薬加療が行われた.症状は一旦改善したが,その後,短期間で2回の再燃を繰り返したため当院に紹介となり,腹腔鏡下虫垂切除術を施行した.病理組織学的に,腫大した虫垂の筋層から漿膜下層にかけて子宮内膜腺の増生とCD10陽性の間質を認め,虫垂子宮内膜症の診断となった.虫垂子宮内膜症は非常に稀な疾患で,無症候性のこともある.有症例であっても月経周期との関連が乏しかったり,さらに特異的な画像所見もないため,術前診断を得ることは難しい.自験例のように生殖年齢の女性で虫垂炎を繰り返す場合は,虫垂子宮内膜症の可能性も念頭に置き治療に臨む必要がある.