2024 年 85 巻 1 号 p. 76-81
術後リンパ漏の多くは絶飲食で改善するとされるが,中には保存的加療に対して抵抗性のリンパ漏もある.われわれは,難治性リンパ漏に対しリンパ管造影が有用であったと考えられる症例を経験した.症例は82歳の男性で,S状結腸癌に対して腹腔鏡下S状結腸切除術を行い,経過良好で退院した.術後36日目に腹部膨満が出現し,精査の結果,リンパ漏と診断した.保存的加療は無効であったため,術前の検査としてリンパ液の漏出部位の特定のためリンパ管造影を行ったところ,腹腔内に造影剤の漏出を認め,漏出部位は下腸間膜動脈根部付近と考えられた.しかし,リンパ管造影の後,腹水量は自然に減少し,食事開始後も再燃なく経過し,保存治療が可能であった.難治性のリンパ漏に対して診断的治療としてのリンパ管造影が有用である可能性が示された1例を経験した.