2024 年 85 巻 1 号 p. 70-75
緒言:肝膿瘍を伴う大腸癌は稀である.腸重積をきたした上行結腸癌に合併した肝膿瘍の1例を経験したので報告する.
症例:73歳,女性.近医での血便精査で上行結腸癌の診断となった.当院初診の血液検査で高度炎症所見を認め,胸腹部造影CTで肝右葉に低吸収域および上行結腸腫瘍による腸重積の所見を認め,肝転移または肝膿瘍の診断となった.即日入院し抗菌薬を開始したが,炎症所見の改善に乏しく,結腸右半切除を施行した.pT3N1bM0,pStage III bの診断となったが,術後補助化学療法は本人希望で1コースで中止となった.退院後のPET検査で肝病変は著明に縮小しており,肝膿瘍と診断した.術後1年目のCTでは,肝膿瘍および結腸癌の再発は認めていない.
結語:自験例の肝膿瘍は,大腸癌の重積による経門脈的感染と推測された.肝膿瘍を伴う大腸癌の標準治療は定まっていないため,今後の症例の蓄積が重要である.