日本臨床外科学会雑誌
Online ISSN : 1882-5133
Print ISSN : 1345-2843
ISSN-L : 1345-2843
症例
肺非結核性抗酸菌症に対する手術治療後の遅発性感染性胸壁囊胞の1例
山本 清成石倉 久嗣溝渕 海松本 大資笠井 孝彦
著者情報
ジャーナル フリー

2024 年 85 巻 10 号 p. 1376-1380

詳細
抄録

症例は68歳,男性.57歳時に肺非結核性抗酸菌症に対して半年間の抗菌化学療法を行った.その後,喀血をきたし58歳時に胸腔鏡下右上葉切除を施行した.術後抗菌化学療法を希望せず,経過観察の方針となった.約1年後に右肩甲骨下のポート創直下に被膜を有する囊胞が出現し,局所麻酔下に切除した.病理学的に囊胞壁には特異的変化はなく,肥厚した線維性胸膜と診断された.内容液のZiehl-Neelsen染色および抗酸菌培養は陰性であり,臨床経過から胸壁ヘルニアと診断した.囊胞切除から8年後,同部位の再膨隆を認めた.病巣範囲は以前より広範囲であった.全身麻酔下に硬い線維性被膜を有する囊胞を完全に切除した.胸腔鏡での観察では胸膜および胸腔内に異常を認めなかった.囊胞壁の抗酸菌培養およびPCR検査でMycobacterium aviumが検出され,感染性胸壁囊胞と診断した.遅発育菌による胸腔鏡手術後の胸壁感染は稀であるが,念頭に置くべきで,術前後の抗菌化学療法の重症性が再認識された.

著者関連情報
© 2024 日本臨床外科学会
前の記事 次の記事
feedback
Top