2024 年 85 巻 2 号 p. 232-236
乳癌術後に傍大動脈リンパ節単独転移をきたし,閉塞性黄疸を生じた,稀な経過の1例を経験した.症例は45歳,女性.左乳癌cT1N1M0 cStage IIA,Triple negative typeの診断にて,術前化学療法を施行した.左乳房部分切除術および腋窩リンパ節郭清を施行し,病理学的完全奏効(pathological complete response;pCR)が得られた.術後14カ月,倦怠感を認め受診した.血液生化学検査にて肝胆道系酵素は高値で,腹部CTでは肝門部から傍大動脈にかけて軟部陰影を認めたため,膵癌を疑った.しかし,超音波内視鏡検査で膵に明らかな腫瘍は認めず,肝門部および傍大動脈リンパ節の腫大と考えた.同部位の超音波内視鏡下穿刺吸引生検を施行したところ,原発巣が乳腺・膵ともに矛盾しない結果であり原発巣の同定に難渋したが,病歴や画像検査,病理組織学的検査を総合的に考慮し乳腺原発と考えた.Weekly paclitaxel+bevacizumab (wPTX+Bev)療法が奏効し,現在,臨床的完全奏効(clinical complete response;cCR)を維持している.