2024 年 85 巻 3 号 p. 371-378
症例は71歳,男性.2002年2月,胃癌に対して幽門側胃切除術,D2郭清を施行した.病理診断は,Type 0-IIa,tub2>tub1>Sig,pT1b (SM),INFγ,ly-1,v-0,pN2 (4/40),pPM0,pDM0,pStage IIA(胃癌取扱い規約第14版)であった.近医での経過観察中,術後12年目の血液検査においてALPが高値であったため,2014年5月に当院を再診した.骨シンチグラフィ検査にて転移性多発骨腫瘍の診断となった.骨生検を行ったところ,印環細胞癌を示唆する所見を認めた.明らかな原発巣が存在しないことから,胃癌術後の多発骨転移の診断となった.S-1を用いた化学療法を継続し,3年間は支障なく日常生活を送れていたが,治療開始後3年半経過後より,腰痛が出現するとともに急激に播種性骨髄癌症を発症し,治療開始後3年7カ月で死亡した.胃癌術後長期経過後にも起こりえる骨転移は,症状出現前に診断し治療を開始することが長期予後を得るには必要と思われ,ALP値を継続して測定することが望ましい.