2024 年 85 巻 6 号 p. 714-719
症例は50歳,女性.右乳房C区域の乳腺症に対し16年前より経過観察中.2年前に姉が異時性両側乳癌の発症を機に遺伝学的検査を行い,BRCA2病的バリアントが判明した.本人も遺伝学的検査を希望し,姉と同一のBRCA2病的バリアントを保有することがわかった.リスク低減手術を希望されたため,術前の画像評価を施行した.MRI,乳房超音波検査では両側乳房に多彩な所見を認めた.右乳房C領域・左乳房A領域に悪性を示唆する病変を認めたが,針生検では悪性所見は認めなかった.左乳房D領域に腫瘤影を認めたが,12年前から腫瘤影は存在し,画像上悪性を示唆する所見はないため,針生検は施行しなかった.リスク低減乳房切除術およびリスク低減卵管卵巣摘出術を施行した.病理で左乳房D区域に7mmの浸潤性乳管癌(オカルト癌)を認めた.乳癌未発症のBRCA2病的バリアント保持者に対しリスク低減乳房切除術を行い,オカルト癌を認めた1例を経験したので報告する.