2024 年 85 巻 6 号 p. 720-725
症例は72歳,女性.検診異常で当院に紹介となり,CT上,右肺S7に径2.3cmの結節影を認めた.原発性肺癌の診断で入院,胸腔鏡下右肺下葉切除を施行した.術中リンパ節郭清時に気管支動脈より出血し,止血にソフト凝固を使用した.止血に難渋,繰り返し止血操作を要した.止血操作を行った中葉気管支に白色の色調変化および中心部に穿孔を認め,気漏を認めた.穿孔部を直接縫合閉鎖し被覆を行った.術後経過は良好で,術後1日目に胸腔ドレーンを抜去し術後3日目に退院となった.中葉気管支の穿孔部はソフト凝固で止血操作を行った部位と一致しており,ソフト凝固による熱損傷と考えられた.ソフト凝固は電圧を自動制御することで比較的低温で組織を蛋白凝固させ切開や炭化を伴わず止血可能で有用であるが,深部への熱損傷をきたす可能性があることを念頭に置く必要がある.今回,われわれはソフト凝固が原因と考えられた術中気管支穿孔の1例を経験したので報告する.