日本臨床外科学会雑誌
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症例
多発胃癌術後の残胃に発生した胎児消化管類似癌の1例
森 旭弘阪本 研一遠藤 真英
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2024 年 85 巻 6 号 p. 731-736

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抄録

胃原発の胎児消化管類似癌(adenocarcinoma with enteroblastic differentiation)は稀な疾患であり,胃癌取扱い規約では悪性上皮腫瘍の特殊型に分類される.症例は81歳,男性.11年前に多発胃癌に対して他院で幽門側胃切除術を施行され,近医で経過観察されていたが,内視鏡検査は施行されていなかった.定期の血液検査でCA19-9 25.7U/mLと軽度上昇を認めたため,精査目的に当院に紹介となった.胃体部小彎側に4cm大の3型腫瘍を認め,生検にてtub1-2と診断され残胃全摘術を施行した.術中所見で肝外側区域に直接浸潤を認め,肝部分切除を追加した.病理組織検査では淡明な胞体を持ち,免疫染色でSALL4強陽性,AFP弱陽性となる腺癌細胞が観察され,胎児消化管類似癌と診断された.術後FOLFOXによる化学療法を導入したが,食欲不振の副作用のため3コースで中止とした.本疾患は稀であるが極めて予後が不良な疾患であり,今後も厳重な経過観察を要する.

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