日本臨床外科学会雑誌
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症例
保存的治療で軽快した鼠径ヘルニア術後遅発性メッシュ感染の1例
小林 照忠佐藤 龍一郎金子 直征佐藤 純
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2024 年 85 巻 6 号 p. 807-812

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抄録

症例は82歳,男性.左鼠径ヘルニアに対する修復術(Direct Kugel法)と前立腺癌に対する精巣摘除術を同時に受けた.術後に精巣摘除術創が感染したが,ヘルニア術創は感染しなかった.手術から1年9カ月後に皮膚疾患に対してステロイドが全身投与され,1カ月後に発熱し,CTで左鼠径部から骨盤内に及ぶ膿瘍を認めた.遅発性メッシュ感染と診断して経皮的膿瘍ドレナージを行った.抗菌薬としてピペラシリン/タゾバクタムを投与し,膿汁培養で黄色ブドウ球菌感染と判明してピペラシリンへ変更した.ドレーン抜去後に抗菌薬をセファクロル+ミノサイクリンへ変更し,退院後も継続して計10週間の抗菌薬治療を行った.感染の再燃なく1年間経過し,CTでも膿瘍を認めていない.遅発性メッシュ感染ではメッシュ除去が必要とされているが,保存的治療で軽快した後に再燃なく経過していることから,症状軽快後の抗菌薬継続は試みる価値があると思われた.

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