2024 年 85 巻 7 号 p. 910-914
症例は78歳の女性.全身性エリテマトーデスと抗リン脂質抗体症候群(APS)で当院内科通院中に腹痛と下痢をきたし,精査の結果小腸腸間膜内穿通,腸間膜膿瘍と診断された.感染によるAPSの劇症化リスクが高まることから,緊急で開腹小腸部分切除,膿瘍切除を行った.病理所見では微小血栓や塞栓を認めず,小腸憩室穿通が原因と考えられた.術後は早期からヘパリンを開始し,凝固をモニタリングしながらワーファリンとシロスタゾールにスイッチし,血栓や出血の合併症なく術後14日目に内科へ転科となった.APS患者は血栓や出血のリスクが高く慎重な抗血栓療法を要するが,周術期の抗血栓療法は未だ確立していない.感染を伴い外科的治療を要する二次性APS患者において,APSの劇症化を防ぐために早期の手術決断と,モニタリングを行いながらの周術期の慎重な抗血栓療法が重要であると考えられた.