2024 年 85 巻 7 号 p. 915-920
症例は44歳,女性.5年前から左季肋部の腫瘤を自覚も放置していたが,半年前からの腫瘤の増大および左下腹部痛を自覚し,受診した.腹部造影CTにて腫瘍は腹腔内左側,膵臓の尾側,左腎の腹側に位置し膵臓は頭側に圧排されていたが,境界は明瞭であった.診断は未確定であったが,腫瘍が増大傾向で悪性腫瘍も否定できず,診断的摘出術を施行した.開腹所見では,腫瘍はTreitz靱帯から直ぐの小腸粘膜下から発生し,間膜内さらに膵下縁の後腹膜内に進展していた.他臓器を損傷することなく,腫瘍および小腸部分切除を行った.再建は空腸を横行結腸背側で挙上し,十二指腸下降脚とoverlap吻合を行った.病理組織診断で管外発育型空腸平滑筋腫と診断した.術後経過は問題なく.術後14日目に軽快退院となった.腹腔内腫瘤はその鑑別に難渋し,術前の確定診断は困難で診断的摘出術を行うことも多い.さらに,管外発育型空腸腫瘤は無症状で経過することが多いため,比較的大きな腫瘤として見つかることが多い.今回われわれは,左季肋部腫瘤を契機に発見された空腸巨大平滑筋腫を経験したので報告する.