2024 年 85 巻 7 号 p. 952-957
症例は87歳,女性.肝転移を伴うS状結腸癌に対して腹腔鏡下高位前方切除術,D2郭清を施行した.術後6日目夜間に腹痛・嘔吐を認めたが,鎮痛剤で経過をみていた.翌朝右下腹部中心に圧痛を伴う腫瘤を認め,腹部CTでポートサイトヘルニア嵌頓と診断し,緊急手術を行った.臍部創を尾側へ延長し腹腔内を確認すると,12mmポート部から小腸が嵌まり込んでいた.ポート創を切開すると外腹斜筋腱膜は縫合閉鎖されており,その筋膜下に嵌頓した小腸を認めた.内外腹斜筋間にヘルニア腔があり右季肋下まで広がっていた.腸管壊死が疑われたため,絞扼小腸を部分切除し腹膜・腹横筋と外腹斜筋腱膜をそれぞれ閉鎖し,ヘルニア腔にドレーンを留置し終了した.近年,腹腔鏡手術の普及に伴い多数のポートサイトヘルニアが報告されているが,筋膜閉鎖後の筋間に脱出した報告は少ない.ポートサイトヘルニアは筋膜を閉鎖しても生じることがあり,腹膜も含めた全層縫合閉鎖を行うことが重要であると思われた.