2024 年 85 巻 7 号 p. 958-962
症例は84歳,男性.右鼠径部膨隆を主訴に当院を受診した.術前CTで右内鼠径ヘルニアと診断し,腹腔鏡下鼠径ヘルニア修復術(TAPP法)を施行した.手術所見では右内鼠径ヘルニアを認めたが,それとは別に内鼠径輪から鼠径管とは異なる方向に進展するヘルニア門も認めた.腹膜前腔を剥離すると内腹斜筋が裂けたようなヘルニア門が存在し,外腹斜筋と内腹斜筋との間にヘルニア囊が先進していたため,interstitial typeのinterparietal herniaと診断した.また,精索脂肪腫も合併していたため,精索脂肪腫を摘出後に腹腔鏡下鼠径ヘルニア修復術を行った.自験例は内鼠径ヘルニアと精索脂肪腫,interparietal herniaを合併しており,精索脂肪腫により鼠径管が閉塞し,interparietal herniaを発症した可能性が考えられた.診断と治療の点でTAPP法が有用であった.