2024 年 85 巻 7 号 p. 974-978
腹腔鏡下手術によって狭小なワーキングスペースにおいても拡大視野効果の下,精緻な手術が可能となる.今回左骨盤側方領域の腫瘍に対して,右側臥位で腹腔鏡下に骨盤側方領域を展開しながら直視下との2チームアプローチで切除しえた1例を報告する.症例は54歳,女性.左臀部から坐骨切痕を通り骨盤内に広がる脂肪系腫瘍に対して手術を施行した.全身麻酔下に右側臥位をとり,腹腔鏡下アプローチとして臍部および左側腹部,左下腹部の3ポートで手術を開始した.同時に患者背側からアプローチし,直視下に腫瘍直上から左大臀筋線維に沿って皮切後,筋線維を分けながら腫瘍被膜まで到達した.最深部の坐骨切痕部まで剥離を全周性に拡大し,腹腔鏡下に剥離した腫瘍深部と連続させて切除を完遂した.術後排便および排尿機能の低下なく第10病日で退院となった.左骨盤部腫瘍に対する右側臥位による腹腔鏡と直視下の2チームアプローチは有用であると考えられた.