2024 年 85 巻 8 号 p. 1012-1017
良性転移性平滑筋腫(benign metastasizing leiomyoma:BML)は,その多くが,子宮筋腫が肺へ多発転移する稀な疾患である.症例は67歳,女性.36歳時に子宮筋腫にて子宮摘出,40歳時に甲状腺癌にて甲状腺全摘を受けた.両側多発肺結節を認め,甲状腺癌の肺転移として内分泌外科にて約27年間経過観察中であった.無症状で経過していたが,多発肺結節の一部のみの増大を認めたため,診断確定と方針決定目的に胸腔鏡下左肺生検を施行した.病理所見では,異型のない紡錘形細胞の錯綜を,免疫染色ではエストロゲン・プロゲステロン受容体陽性を認め,肺良性転移性平滑筋腫と診断した.子宮筋腫の既往がある女性における両側多発肺結節では,BMLを鑑別として考慮するべきである.