2024 年 85 巻 8 号 p. 1135-1140
症例は37歳,女性.検診で偶発的に膵尾部の囊胞性病変を指摘された.腹部CT・MRIでは20mm大の囊胞性腫瘤が描出され,超音波内視鏡(endoscopic ultrasonograply:EUS)から膵管内乳頭粘液性腫瘍(intraductal papillary mucinous neoplasm:IPMN)と診断,経過観察の方針となった.その後に第1子を妊娠・出産したが,出産後6カ月の腹部CTで腫瘤は35mm大に増大しており,腫瘍より尾部側の膵萎縮と主膵管拡張を認めた.MRIでは囊胞内部の隔壁構造が確認された.以上より膵粘液性囊胞腫瘍(mucinous cyst neoplasm:MCN)の診断に至り,腹腔鏡下膵体尾部切除術を施行した.病理では囊胞は異型の乏しい円柱上皮に裏装されており,上皮直下には卵巣様間質が散見され,MCNに矛盾しない所見であった.悪性所見は認めなかった.以降,明らかな再発はなく,その後第2子を無事出産した.MCNは妊娠経過中に急速増大することがあると報告されており,慎重な経過観察や手術計画が肝要である.