2024 年 85 巻 9 号 p. 1189-1194
悪性腫瘍の眼窩転移は,進行すれば失明に至り患者のQOLを著しく損なうため,早期の治療介入が必要である.
症例は66歳,女性.左乳癌に対し,乳房部分切除術+センチネルリンパ節生検を施行した.12年後に腋窩リンパ節再発を認め,腋窩郭清術(レベルIIまで)を施行,化学療法および内分泌療法を継続するも,その4年後に強い嘔気・嘔吐が出現し,頭部造影MRIで多発脳転移・頭蓋骨転移を認めた.また,複数の外眼筋の腫大と内部に結節病変を認め,乳癌の眼窩転移が強く疑われた.眼症状の出現予防を目的に,眼窩転移部を含めて全脳照射(30Gy/10fr)を行い,2カ月後に癌死するまで,眼症状の出現を認めなかった.
無症候性眼窩転移に対しても,早期に放射線治療を開始することで眼症状の出現を抑え,患者のQOLを維持することが期待できる.