2024 年 85 巻 9 号 p. 1201-1204
症例は80歳,男性.2006年にePTFE人工血管を用いて左大腿動脈-膝上部膝窩動脈バイパスを施行.今回,左大腿部の腫脹を認め来院.下肢動脈エコー,造影CTで出血を示唆する所見は認めなかったが,経過観察中に左大腿部の腫脹の拡大と,造影CTにおけるlow density area(以下:LDA)の増大があり手術適応と判断.同部切開による手術所見ではLDAは血腫であり,除去すると2カ所で人工血管が屈曲していた.人工血管のリングが脱落し,屈曲部に亀裂を認め,屈曲の度合いにより同部位から出血する様子も確認できた.人工血管の修復は困難でありFUSION 7mmを用いてinterposeを行った.術後は創傷治癒にやや難渋したが再出血もなく自宅退院となった.本症例は経年劣化でリングが脱落していたこと,人工血管の硬化が起きているところに足の屈伸による断続的な人工血管の屈曲が重なり破綻をきたしたと考えられた.