2024 年 85 巻 9 号 p. 1237-1242
症例は57歳,女性.右下腹部のしこりを主訴に近医を受診した.腹部超音波検査で回盲部にtarget signを認め,腸重積の診断で加療目的に当院に紹介となった.CTで上行結腸内に回腸末端部が嵌入,先進部には40mmの腫瘤形成を認めた.下部消化管内視鏡下に生検を行ったが診断に至らず,回腸粘膜下腫瘍の診断で腹腔鏡下手術を施行した.術中所見では回腸腫瘍が先進部となり横行結腸まで嵌入しており,腹腔鏡下での腸重積の整復は困難であった.腹腔鏡下に回結腸動静脈を処理し,肝彎部まで結腸を授動した.臍部で小切開をおき回腸~横行結腸を創外に引き出し,Hutchinson手技で重積を解除し,回盲部切除を行った.切除標本では回腸末端の壁肥厚を認め,同部位の割面で固有筋層から漿膜下層にかけ黄白色の腫瘤を認めた.病理組織学的に腫瘍は成熟脂肪細胞と壁肥厚した血管の増生からなり,血管脂肪腫と診断した.術後経過は良好で第9病日に退院となった.